【症例報告】MRIで「脊柱管狭窄症」と診断された方の痛みが、なぜ筋肉で消えたのか?
「病院でMRIを撮ったら脊柱管狭窄症と言われた。もう手術しかないのかな……」
そんな切実な悩みを抱えた方も来院されます。
先日来院された70代のお客様も、その一人でした。
立ち上がる瞬間に腰に走る激痛、そしてお尻から太もものシビレ。
最初は坐骨神経痛の診断でしたが、MRI検査で狭窄症と診断されました。
「骨が狭いから仕方ない」
と諦めかけていたその方の身体を、当院では「筋肉の連鎖」という視点で紐解いていきました。
[もくじ]
1. 【見立て】腰ではなく「過去のケガ」にヒントがあった
初診時、ぼくはお客様の腰ではなく、これまでの人生でのお怪我や手術の歴史を詳しく伺いました。
そこで見えてきたのが、意外な「真犯人」の影です。
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数十年前の手(親指)の手術: 手首の動きが制限されていました。主に前腕の筋肉が手首や指の動きを支配しています。
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長年のひざの痛み: ヒザ痛の原因も股関節が大きく影響しています。この股関節がガチガチに固まっていました。
一見、腰とは無関係に思える「手首」や「股関節」。
しかし、スポーツ整体の視点で見れば、これらはすべて一本の鎖(キネティック・チェーン)で繋がっています。
2. 【仮説】腰椎は、周囲のサボりを補った「被害者」
私の立てた仮説はこうです。
「手首や股関節が動かない分、腰が無理をして動きすぎ、その結果として骨が変形(狭窄)してしまったのではないか?」
手首が固まれば肩甲骨に影響が出てしまい、さらに背中(胸椎)が動きを失い、股関節が固まれば歩くたびに腰を反らせて、代償せざるを得なくなります。
狭窄症という「形」は結果に過ぎず、腰は他の関節のサボりを押し付けられた「被害者」だったのです。
3. 【施術】神経を絞める「筋肉の絞殺」を解く

実際のMRI画像です。↑
腰の赤く囲った部分が狭窄症の症状です。
スポーツ整体の施術では、腰そのものを強く揉むことはしません。
ターゲットにしたのは、手首、肩甲骨、そして股関節周りの「強拘縮(きょうこうしゅく)」を起こした筋肉。
これらが背骨を上下からギュッと押し潰し、神経をいわば「絞殺」している状態でした。
腰の腰椎は安定してて、そのかわり腰の下の股関節と、腰の上の胸椎が動く。というのが理想です。
強く緊張した筋肉を緩めることで、神経への物理的な圧縮ストレスを解放し、血流を再開(虚血の解消)させます。
すると、施術後にはあんなにツラかった「立ち上がり時の激痛」が、驚くほど軽減していきました。
痛みを感じる「閾値レベル」が下がったのです。
4. 【指導】再発を防ぐ「筋肉」の再教育

最後に、ご自身で「腰を守る」ためのセルフケアとして手首のエクササイズ、肩甲骨と股関節にすごく大事な筋肉をそれぞれ働くようなエクササイズをお伝えしました。
そして「呼吸」もお伝えします。
狭窄症の方は反り腰になりやすく、肋骨がパカっと開いていることが多いです。
「吸った息を全部吐きながら肋骨をスッーと引き下げる呼吸」。
これを習得することで腹圧(IAP)が安定し、筋肉が「天然のコルセット」として機能し始めます。
横隔膜が働くことで、腸腰筋に良い効果を呼び込むのです。
もう腰を過剰に反らせる必要はなくなったのです。
診断名は「今の状態」であって「限界」ではありません
このお客様は今、大好きだった運動やヨガを再び楽しめるようになり、痛み止めを飲む回数も劇的に減っています。
MRIに映る「脊柱管の狭さ」は変わっていなくても、筋肉の状態と身体の使い方が変われば、症状はここまで変えられるのです。
「形は変えられなくても、筋肉と動きは今から変えられる。」
もしあなたが「狭窄症だから仕方ない」と一人で悩んでいるなら、一度その「筋肉の連鎖」を見てもらうことを強くお勧めします。
筋肉が全ての原因とは言いません。
椎間板の老化(変性)は、筋肉の負荷だけでなく、水分保持力の低下や栄養供給の不全といった「化学的・生理的な変化」によっても起こります。
これは筋肉をどう動かしていても、細胞レベルで進行する避けられない側面があるんです。
生まれつき脊柱管が狭い人(先天性狭窄)も、筋肉の使い方が完璧であっても、わずかな加齢変化で症状が出てしまいます。この遺伝的素因もあります。
筋肉が原因で骨が変形したとしても、一度変形して神経を物理的に圧迫し始めたら、それはもう「骨(および靭帯)という物理構造の問題」になってしまいます。この段階に達すると、筋肉を整えるだけでは物理的なスペースは回復しません。
また、どれだけ使い方が正しくても、80年使った部品と20年使った部品では摩耗の蓄積が違います。
どんなに姿勢が良い高齢者でも、20代と同じ脊柱管の状態を維持することは、今のところ生物学的に不可能です。
狭窄症の大きな原因の一つは「黄色靭帯の肥厚(厚くなること)」です。
これは筋肉の牽引力だけでなく、微細な炎症の繰り返しや血流障害によっても起こります。
すべて筋肉のコントロール下に置くのは無理があります。
姿勢を司るのは筋肉ですが、その筋肉をコントロールしているのは脳や神経系、そして内臓のコンディションです。
筋肉を「原因の頂点」に置くのは、生体システムの一部のみを強調しすぎていると言えます。
しかし、「画像上の異常(狭窄)」と「実際の痛み」は必ずしも一致しません。
これは医学界でも非常に有名な事実で、60歳以上の「痛みがない人」を対象にMRIを撮ると、約20〜30%の人に中等度以上の脊柱管狭窄が見つかるという研究データもあります。
狭窄症なのに痛くない。
逆に腰が痛いのに狭窄症じゃない。
それはなぜか?
「構造」よりも「環境」が守られているから
脊柱管が狭くなっていても、神経そのものが「健康な環境」にあれば悲鳴(痛み)を上げません。
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血流の確保:
神経にとって最大のストレスは「圧迫」そのものよりも、それによって引き起こされる「酸欠(血流不足)」です。
筋肉の柔軟性が高く、ポンプ機能がしっかり働いていれば、管が狭くても神経に十分な血液が届き、症状が出ません。 -
炎症の欠如:
「狭い場所」があっても、そこで擦れたりぶつかったりしていなければ、炎症は起きません。
筋肉が適切に骨を支えていれば、狭いなりに「安定」して、神経を刺激せずに済んでいるのです。
急に狭窄症になるんじゃなくて、時間をかけて少しずつ狭くなっていってるので、神経もそれに合わせてうまく圧迫を避けていくのです。
「閾値(いきうち)」を超えていない
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構造的なマイナス(狭窄): -50点
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筋肉・血流のプラス(機能): +70点
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合計: +20点(→ 痛みが出ない)
このように、骨のマイナスを筋肉や使い方のプラスが上回っていれば、無症状でいられます。
逆に、どれだけ骨が綺麗でも、筋肉がガチガチで血流が悪ければ(-80点)、痛みが出ることもあります。
これが「形と症状の不一致」の正体です。
脳の適応能力(可塑性)
脊柱管狭窄は、多くの場合、数年〜数十年かけてゆっくり進行します。
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急激な変化::脳はパニックを起こし、強い痛み信号を出します。
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ゆっくりした変化::体(筋肉や神経)がその「狭さ」に順応し、新しい状態を「通常」として受け入れることがあります。筋肉の使い方が上手な人は、この適応がスムーズに進みます。
狭窄症の真実
「形(骨)」が原因のすべてなら、狭窄がある人は全員痛くなければおかしいはずです。
しかし現実はそうではない。
つまり、「骨の変形は変えられなくても、筋肉や血流という『環境』を整えれば、無症状の人たちと同じ側に回れる」ということです。
整形外科で「画像」だけを見て「これはひどい、手術だ」と言われることがありますが、それはあくまで「静止画(形)」の評価に過ぎません。
ここで注目している「動き(機能)」こそが、痛みが出るか出ないかの分かれ道です。
「腰が悪いから背筋を鍛えよう」とするのは、狭窄症においては火に油を注ぐ行為になりかねません。 背筋(脊柱起立筋)を硬いまま鍛えすぎると、さらに腰椎の反りが強くなり、脊柱管はより狭くなります。
必要なのは「固まった筋肉を緩めること」と「眠っている筋肉(腹圧・お尻)を起こすこと」の順序です。
あなたの身体が本来持っている、痛みなく動ける力を一緒に取り戻しましょう。
コラム:痛み止め「リリカ」との賢い付き合い方
病院で脊柱管狭窄症と診断されると、多くの場合「リリカ(一般名:プレガバリン)」というお薬が処方されます。
これは神経の興奮を抑える非常に強力な薬ですが、スポーツ整体師の視点で見ると「諸刃の剣」でもあります。
薬で得られる「ボーナスタイム」を活かす
リリカを飲むと、神経の痛みが和らぐことで、身体が痛みから守ろうとしていた「関連筋の緊張(二次的なガード)」がふっと抜けることがあります。 この「緊張がとれている時間」は、いわば身体を作り変えるためのボーナスタイムです。
この隙に、当院で行っているような「股関節」や「肩甲骨」の動きを取り戻す施術や運動を組み合わせることで、血流がさらに改善し、回復のスピードを上げることができます。
「火災報知器」を止めただけで満足していませんか?
しかし、注意しなければならないのは、お薬はあくまで「痛みという信号」を脳に届かないようにしているだけだということです。
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火の元(筋肉の強拘縮や骨への負担)は消えていない
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痛くないからといって無理に動くと、さらに変形を進行させる恐れがある
また、副作用として「強い眠気」や「ふらつき」、さらには「便秘」を訴える方も少なくありません。
便秘で腹圧が不安定になれば、腰を支える力も弱まってしまいます。
最後に:薬に頼り切らない「動ける身体」へ
痛み止めは、どうしても辛い時期を乗り切るための「架け橋」にはなります。
しかし、薬を飲むために別の薬(胃腸薬など)を飲み続けるような生活を、いつまでも続けてほしくはありません。
脊柱管狭窄症という「形(結果)」に振り回されず、その原因である「動き」を一つずつ紐解いていけば、お薬に頼らなくても笑って歩ける日は必ずやってきます。
身体が本来持っている「回復する力」を全力でサポートさせていただきます。
編集後記
「画像」ではなく「あなたの動き」を診る、筋肉のスペシャリスト。
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どこに行っても良くならなかった脊柱管狭窄症
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手術を宣告されたが、まずは自分で何とかしたい
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一度、筋肉をしっかり再起動させたい
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
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